Kids' Health~お子さまの健康維持について~
<予防接種の違いについて>
シンガポールをはじめ海外生活を送る上で、ワクチンの種類や接種のタイミングに悩むことはありませんか。シンガポールのワクチン事情について、総合医の先生にお聞きしました。
ニホンプレミアムクリニック 黒川 剛史 先生
Q. 日本とシンガポールでワクチンに違いはありますか?
A. 混合ワクチンにより、接種回数を減らすことができます
シンガポールと日本ではワクチンの種類や接種時期に違いがありますが、必要なワクチンは揃っていますので心配はいりません。混合ワクチンを上手に利用することで、接種回数を減らすことが可能です。日本の4種混合ワクチン(DPT-IPV;ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)に相当するシンガポールのワクチンは、5種混合(4種混合+ヒブ)や、6種混合(4種混合+ヒブ+B型肝炎)ワクチンです。日本で4種混合を接種された方も、5種混合で続きを接種できます。また、日本ではMR(麻疹・風疹)ワクチンを接種しますが、こちらではおたふく風邪(Mumps)も一緒に入ったMMRを接種します。日本ではおたふく風邪の予防接種は任意接種ですが、世界では定期接種がスタンダードです。これから接種する場合は、MMRをおすすめします。
Q. 大人が接種すべきワクチンはありますか?
A. 破傷風の最終接種から10年経過していれば追加接種を
破傷風の予防接種は、最終接種から約10年間は免疫があります。その後は10年毎に追加接種しておくと安心です。定期接種を済ませていない世代の方は、基礎免疫を付けるため3回+ブースター接種※が必要です。
※すでにワクチン接種をした人の免疫をより強化するために追加でワクチン接種をすること
Q. シンガポールで接種すべきワクチンはありますか?
A. A型肝炎、B型肝炎のワクチン接種をしましょう
東南アジア諸国を訪れる機会のある方には、肝炎ウイルスの予防接種(A型肝炎・B型肝炎)をおすすめします。いずれも日本より感染リスクが高く、重症化し死亡に至ることもあります。シンガポールにはA型・B型肝炎の混合ワクチンがあり、接種回数も少なく済みます。
出張や旅行先によっては、狂犬病・腸チフス・黄熱病などの予防接種も必要です。期間を空けて数回の接種が必要なものや、抗体ができるまで2~3週間ほど必要なものもありますので余裕をもって接種スケジュールを組みましょう。接種の記録は失くさないよう大切に保管してください。予防接種の間隔については、生ワクチン同士では27日間空ける必要がありますが、それ以外では必要ありません。スケジュールは医療機関で相談し決めましょう。
? | 日本 | 共通 | シンガポール |
定期接種 | ? | 4種混合 | 5種混合(4種混合+ヒブ) 6種混合(4種混合+ヒブ+B型肝炎) |
? | ヒブ | ||
? | B型肝炎 | ||
? | 肺炎球菌 | ? | |
? | BCG | ? | |
? | MR | MMR(MR+おたふく風邪) | |
水痘 | ? | ? | |
日本脳炎 | ? | ? | |
任意接種 | おたふく風邪 | ? | 水痘 |
? | ? | 日本脳炎 | |
? | ロタ | ? | |
? | インフルエンザ | ? | |
? | A型肝炎 | ? | |
? | HPV | ? |
お子さまの健康維持や心のケアが気になりながらも、実際に病院を受診する機会は少ない、という方もいらっしゃることでしょう。
Springでは、日系及び日本語で相談できる病院・クリニック・歯科の先生方にご協力いただき、当地での健康維持に役立つアドバイスをいただきました。
連載でご紹介しています。
海外で生活を送るご家族の皆さまが安心して過ごせますよう、今号ではお子さまの歯科と予防接種についてご紹介します。