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こどもの鼻風邪について

日本メディカルケアー 吉國 晋 医師
「こどもの鼻風邪について教えて下さい」

 子どもの鼻風邪はウイルスや細菌により生じますが、インフルエン ザや水ぼうそう以外のウイルスによる鼻風邪には鼻水止めや咳止めな どの対症療法をおこないます。細菌による鼻風邪が悪化すると急性副 鼻腔炎や急性中耳炎などを起こす危険があるため、抗生剤による治療 が必要です。一般に抗生剤は細菌に有効でウイルスには効きません。

1)急性中耳炎 (acute otitis media, ear infection)

 急性中耳炎は鼻水が耳管を通って中耳の中に入るために生じます。 子どもの耳管は大人よりも短く太くて水平なため、乳幼児は鼻風邪か ら中耳炎になりやすいです。 中耳炎の症状は、耳が痛い、聞こえにくい、耳漏れなどがあります。 治療は抗生剤などを内服しますが、耳の痛みには解熱剤をのんだり、 耳の周りを冷やすのが有効です。

 中耳炎の原因となる細菌は、主に肺炎球菌やインフルエンザ菌です が、最近は、抗生剤が効きにくい細菌が増えているため、内服の抗生 剤を増量したり、点滴の抗生剤を投与する場合もあります。 急性中耳炎がうまく治らず、中耳に液体がたまった状態が続くと滲 出性(しんしゅつせい)中耳炎になります。症状は聞こえが悪くなっ たり、耳が詰まった感じがします。抗生剤をのんでも鼓膜所見が良く ならない場合や、滲出性中耳炎になった場合には耳鼻科専門医を紹介 しています。 5 歳までのお子さんに接種する肺炎球菌ワクチン(Prevenar)は髄 膜炎以外にも肺炎や中耳炎の予防にもなりますので、まだ受けていな いお子さんはぜひ接種してください。(注:ヒブワクチンはb型イン フルエンザ菌による髄膜炎を予防します)

● 飛行機と中耳炎

 飛行機が離陸すると外界圧が下がって中耳圧より低くなるため、鼓 膜が外へ引っ張られます。逆に着陸時には外界圧が上がって中耳圧よ り高くなるため鼓膜が内に引込み、耳が塞がった感じがしたり、耳が 痛くなります。飛行機が上昇・下降態勢に入った際は、耳管を開くた めにつばや水をこまめに飲んだり、あくびをしてあごを動かしたり、 両方の鼻をつまんで鼻を強くかむことをおすすめします。 急性中耳炎では耳管の機能が働かないため、未治療で飛行機に乗る と中耳炎が悪化する危険があります。中耳炎を十分治してから飛行機 に乗りましょう。また、飛行機内の湿度は離陸 30 分後には 10%以下に低下し、極度に乾燥した機内では気道やのどの粘膜が傷みやすいので注意が必要です。

2)副鼻腔炎 (sinusitis)

 ひたいや目の間や頬の骨の中にある空洞を副鼻腔といい、全て鼻の 内部に通じています。副鼻腔内の粘膜の炎症が副鼻腔炎で、急性副鼻 腔炎は鼻風邪に続く細菌感染が原因で生じます。 症状としては、額・頬・鼻の付け根が痛くなったり、黄色い鼻水や 鼻づまりがあります。治療は抗生剤を内服したり、点鼻薬を使用しま す。耳鼻科で鼻水の吸引が必要な場合もあります。 鼻をすすると中耳炎や咳の原因になるので、こまめに鼻をかむよう に心がけましょう。お子さんが小さくて、鼻をかめない場合には鼻水 を吸う器具で吸ってあげましょう。

<正しく鼻をかむ3つのポイント>

● 片方ずつ指で鼻を押さえる (左右の鼻を一度にかむと耳管が開いて中耳炎になりやすいのでやめる) ● 鼻をかむ前に口を閉じて息をこらえる ● ゆっくり小刻みに空気を押し出す感じで鼻をかむ

● プールと鼻水

 水泳や水中に潜るとプールの水が鼻の中に入り、水中の塩素が鼻の粘 膜を刺激して、鼻水が出やすくなります。膿性鼻水、耳痛や発熱など 副鼻腔炎や中耳炎がある時は、症状が悪化しやすいので水泳は避けま しょう。また、普段から水泳の前後で鼻をよくかむようにし、アレル ギー性鼻炎がある人は点鼻薬などの治療を水泳の前に受けることをお すすめします。

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