
※誌面と同じ一覧がPDFでご覧いただけます
グローバル化が進むにつれ、近年「海外大学進学」への関心が高まっています。海外大学といえば、高額な学費を連想する方も多いことでしょう。しかし、日本における奨学金制度の充実により、世界中のトップ大学が日本人の高校生にも現実的な進路となっています。
第1回入門編では、Spring編集部が海外大学進学指導の専門家を取材し各国の概観をご紹介します。次号からの国別の連載もあわせてご一読ください。
取材協力:
● 公益財団法人 笹川平和財団
● 公益財団法人 柳井正財団
● Crimson Education Japan
● Route H
紹介する国
ランキングから見る「世界の大学」
.png)
大学ランキングそれぞれの特徴
| THE | 世界115ヵ国・地域の2,191大学が対象。教育環境、研究環境、論文の引用数などを軸に研究力と教育内容を評価。 |
| QS | 世界100ヵ国・地域の約1,500のトップ大学が対象。学術評価、雇用者評価、国際教員や留学生の比率などを軸に国際性や大学のブランド力を評価。 |
| U.S.News 総合大学 | 米国の大学院を持つ総合大学が対象。学生の卒業率・学部の選抜性・合格率やSAT/ACTスコア、教育リソースや財政力・評判調査をもとにした評価。 |
| U.S.News 米国リベラルアーツ大学 | 米国の人文・社会・自然科学のリベラルアーツ教育を行う小規模大学(学部)が対象。卒業率・教員リソース・入学者の学力・学生一人当たりの教育投資額を評価。 |
代表的な給付型奨学金
🔴柳井正財団 詳細はこちら web https://www.yanaitadashi-foundation.or.jp
〈対象大学〉 (2026年秋入学者)
アメリカの概ねトップ50に入る大学、
および同等レベルのイギリス、カナダの大学
● アメリカ 総合大学 29大学、リベラルアーツ・カレッジ 18大学
● イギリス 7大学
● カナダ 3大学
※アメリカ・イギリス・カナダ共通 アメリカ・イギリス・カナダ以外に所在するキャンパスは対象外。
※イギリス・カナダ共通 大学進学準備コースは対象外。
第10期公募制海外大学奨学金(合格型)よりカナダの3大学を奨学金支給対象大学に追加。
第11期以降も合格型のみ対象となる予定。
※対象大学は、毎年見直しを行っています。
🔷笹川平和財団 詳細はこちら web https://scholarship.spf.org
〈指定大学〉
● アメリカ 総合大学 25大学、リベラルアーツ・カレッジ 17大学
● イギリス 4大学
※英国のファウンデーションコースは対象外。
※掲載大学は、25年度版。最新情報はWEBサイトでご確認ください。
26年度版は5月後半に公表予定。
◎ 日本在住の学生対象 JASSO ◎ 孫正義財団
◎ 江副記念リクルート財団 ◎ グルー・バンクロフト基金 など
米国各大学の合格率も調べよう
U.S. News 「Top 100 Lowest Acceptance Rates」
web https://www.usnews.com/best-colleges/rankings/lowest-acceptance-rate
など
専攻別のトップ大学も調べよう
THE World University Rankings by subject:
web https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/by-subject
QS World University Rankings by subject:
web https://www.topuniversities.com/subject-rankings
主な海外大学進学先の出願時期
◎ 早く出願すると早く合否が判明することも。早期に準備を!
◎ 英語資格試験や奨学金申請のスケジュールも合わせて確認を。
.png)
各国の大学の特徴
海外大学進学指導の専門家に聞きました
Crimson Education Japan 代表取締役 松田 悠介 氏
.png)
米国・英国の大学を目指す
.png)
.08.01.png)
「学びの自由度」「教授法の能動性」「産学連携の厚み」「資金・ネットワークの規模」で抜きん出ているのがアメリカの大学です。アメリカは依然として政治・経済・イノベーションの中枢であり、研究資金・起業エコシステム・産学連携の規模と速度は世界トップクラスです。大学で鍛えた力は、アメリカに残る道はもちろん、日本・シンガポール・ヨーロッパなど、グローバル市場でも価値が高まり続けるでしょう。
アメリカの大学では高校時代に培った主体的な学びや活動への取り組みが多角的に評価されます。「何をどれだけできるか」だけでなく「なぜそれをやるのか」「次に何を成し遂げたいのか」という「自分にしか語れない物語」が問われます。
アメリカの大学で学ぶ利点
❶ 最先端の研究と社会実装が密につながっているため、「幅広い教養(リベラルアーツ)×深い専門」を同時に伸ばせる
❷ 大学タイプごとに異なる強みを持ち、目的に合わせて選べる
❸ 卒業後のキャリアで世界水準の選択肢が開かれる
州立と私立、総合大学とリベラルアーツ・カレッジの違いを理解し、「自分の学び方」と「将来の働き方」に合うタイプを選ぶことが最短距離!
.png)
学費・奨学金
●大学からの奨学金「Financial Aid(ニーズ・ベース)」では、家計状況に応じて授業料や生活費を調整・支援がある。
●大学からの奨学金「 Merit-based Scholarship(メリット・ベース)」では、学業成績や課外活動など、学生の実績を評価して給付する。
●大学の給付と日本の財団奨学金を組み合わせることで、実負担を大きく下げられる可能性がある。
●学費は年間400~900万円程度※(私立が高く、州立でも留学生が高い傾向)。 ※各国の学費は為替レートにより変動するため、最新情報をご確認ください。
出願
試験の「点数」だけでなく、下記の内容を総合的に判断される。標準テスト(SAT/ACT)や英語要件の基準は大学・専攻ごとに異なる。
● 高校の成績 ● 科目選択(大学で希望する専攻分野と関連しているか)
● APや国際バカロレアのスコアなど ● TOEFLなど、英語試験のスコア
● SAT/ACT(共通試験)のスコア ● 課外活動 ● 受賞歴 ● 推薦状 ● エッセイ など
| ACT : 米国の高校学力試験(数学・科学・英語) A-Levels : 英国系の国際教育 高校修了資格 AP : 米国の大学と同様の高度な学習カリキュラムとその外部試験 IBDP : 国際バカロレア・ディプロマ・プログラム 高校修了資格 IELTS : 英語資格試験(特に英国の大学出願で必要、他国でも) SAT : 米国の高校学力試験(数学・英語) TOEFL : 英語資格試験(米国、他国でも) |
.png)
.08.46.png)
学部は原則3年制(スコットランドは4年)で、入学時から専攻を深掘りする「短期集中・専門特化」が強みです。授業は研究と直結し、少人数の討論・エッセイ・実験/スタジオ※、口頭試問などで思考力を厳密に評価します。多くの学科で企業や研究機関での「サンドウィッチ年(有給実務)」を正規カリキュラムとして組み込み、学外での実務経験を積むことができます。
アメリカが「幅広い教養+専攻の柔軟な変更」を重視するのに対し、イギリスは「入学直後から専門を深める学びと厳格な成績評価」が軸になっていることが最大の違いと言えます。
※スタジオ(studio)とは、講義中心ではなく、「制作・設計・実践」を核にした授業形式を指す。建築、デザイン、美術、映像・演劇・音楽、一部の工学・デザインエンジニアリングなど。
学費・奨学金
●大学からの奨学金は米国に比べ限定的で、「ニーズ・ベース」は基本的に期待できない。
●国際学生向けの「メリット・ベース」の学費減免も一部にとどまる。
●費用をおさえるには
①3年制による在学期間の短縮
②サンドウィッチ年の活用(有給で生活費補填)
③日本の財団法人(JASSO・柳井正財団・笹川平和財団など)による奨学金の獲得との併用が現実的な戦略となる。
● 学費は年間 約250~950万円程度※
(都市部・医学部などが高い傾向)
※各国の学費は為替レートにより変動するため、最新情報をご確認ください。
出願
オックスフォード大学・ケンブリッジ大学(総称Oxbridge)や、医学・法・建築などの分野では、追加試験や面接が課されることが一般的。そのため、「必要科目・試験の把握→履修・受験計画→学術的活動やPersonal Statement」の順で、早期に逆算して準備するのが定石となる。その前提として重要なのは、単なる試験対策ではなく、自身が学びたい学問領域を早い段階で明確にし、その分野の知識や思考を継続的に深めていくこと。
●Oxbridge以外の大学はUCAS(Universities and Colleges Admissions Service:オンライン一括出願システム)で一元管理。
●各学科の前提科目(出願に必要な履修科目)。
●A-Levels/IB/APの成績・スコア。
●英語試験のスコア要件が明確に定められている。
●Personal Statement(PS)と呼ばれるエッセイでは、その専攻を学ぶ学術的動機と準備を論理的に示すことが鍵。
海外大学進学準備のヒント
海外大学に向けた「早めの逆算」が重要
●受験準備の成否を分けるのは、「早めの逆算」と「日々の小さな積み上げ」。
●成績の評定や外部のテストスコアに加えて、本人の関心とつながる実践(探究・研究・インターンシップ・ボランティアなど)を早期から継続。
●大切なのは「量より質」。「何の課題に挑み、どんな仮説を立て、どう検証し、社会にどんな価値を残したのか」を短い段落で説明できるように。
留学して後悔した卒業生はいない

ここまで多くの生徒を伴走してきましたが、「留学して後悔した」と語る卒業生に出会ったことはありません。海外進学は本人が主体的に決めるプロセスそのものが学びであり、進学後も困難や失敗を学習に変えるエネルギーを生みます。不確実性の高い時代だからこそ、変化に対応できる知識・スキル・マインドセットが不可欠です。さらに、情報を収集し、仮説を立て、小さな試行を繰り返し、その結果を振り返り、次に活かすことが求められます。
実は、海外大学の出願プロセスこそがこの力を鍛える絶好の訓練になります。
大学名だけで決めない
志望大学の決め方
.png)
家計を理由に諦めない
冷静に情報を集め「教育の投資」と卒業後の「費用対効果」を検討しよう
検討材料
●留学する国(学費の差を把握する)
●大学からの奨学金の可能性
●外部奨学金の諸条件
●在学年数を短縮できるか
(3年制で学べる国の選定、4年制でも短縮可能なことも)
●有給のアルバイト・実務経験を積み、生活費の補填ができるか
(カナダのCo-opなど)
●米国コミュニティカレッジで授業料を圧縮し、3年から総合大学へ編入する道も
ヨーロッパ・カナダ・アジア・オセアニアの大学を目指す
海外大学進学指導の専門家に聞きました。
ベネッセの海外トップ大進学塾 Route H 運営責任者
篠塚 伸夫 氏
.png)
英米の大学を目指すことが主流とはいえ、昨今ではヨーロッパなどの大学を志望する生徒も増えてきました。世界各国の「英語で学べる学位プログラム」を提供する大学に注目してみましょう。高校1~2年の間は、興味関心のある分野を複数持ち、徐々に絞り込みながら志望先を調べていくと良いでしょう。
志望先のリサーチは
❶「自分が学びたい分野」を突き詰めて考える
❷まずは「直感的に自分が好きな国」「興味がある地域」から始める
4年間か3年間か
4年間で学び、複数の分野も専攻できる
アメリカ、カナダ
3年間で学び、入学時から専攻する
イギリス・オランダ・オーストラリア・マレーシアなど。日本の高校(一条校)からは、「ファウンデーションコース」が必要なことも多いので要確認。
.png)

国自体は非英語圏ですが、英語が流暢な人が多く「限りなく英語圏」に近い環境と言えます。大学の設備が新しく、学ぶ環境・生活する環境として高い水準が魅力的です。
世界大学ランキングの上位に含まれるオランダの大学
❶ アムステルダム大学
❷ ライデン大学
❸ ユトレヒト大学
❹ デルフト工科大学(「オランダのMIT」と言われる) など
学費・奨学金
●高い教育水準でありながら、学費は英米の大学よりも低い。(例えば寮費を除いて年間で230万円程度など)
●大学からの奨学金は少ない。
●日本在住の場合、JASSOの奨学金を利用できれば、400万円程度(授業料・寮費ともにフルカバー可能)の支援で全額カバーされる可能性も。
出願
出願プロセスが比較的容易、英米のトップ大学と比べると難易度も低い傾向。
●エッセイや推薦状の提出が不要なケースがある。
●課外活動も英米の大学ほどは求められない。
●CV(カリキュラムの学習歴)や英米よりも短めのモチベーションレター(志望理由書)を提出する。
●英語力の基準はTOEFL90点程度と、英米よりやや低い。
●Study Linkを通じて4学部まで出願できる(英国と似た出願様式)。
3年制
●英国と同様に大学1年生から専門性を深める。
●大学相当の高等教育に匹敵する国際バカロレア(IB)や国際Aレベル、アドバンストプレイスメント(AP)と相性が良い。
●日本の学校(一条校)からは、ファウンデーションコースを取る必要がある。
.png)

比較的治安が良く政治的にも安定していることから、出願者も多く日本人にも人気です。
4年制で、二つを専攻する「ダブル・メジャー」や、主専攻「メジャー」と副専攻「マイナー」を組み合わせることが可能なため、複数分野を勉強したい生徒に向いています。例えばトロント大学ではビジネスと心理学を組み合わせて同レベルで学ぶことができます。カナダに進学した生徒からは、同学年の8割程度がダブルメジャーを取っていたとも聞いています。卒業後は3年間働くことができるため、就職先さえ決まれば米国より働けるチャンスが高いと言えるでしょう。
※最新のVISAの状況をご確認ください。
代表的な大学
トロント大学、マギル大学、
ブリティッシュコロンビア大学(カナダトップ3)、
マクマスター大学、アルバータ大学(カナダトップ5)
学費・奨学金
●学費は年間500~700万円程度。(寮費別)
●大学からの奨学金も比較的獲得しやすい。
●メリットベースで年間3,000~15,000カナダドル給付されるケースも。
●出願時に奨学金希望を明示する必要がある。
出願
アメリカが総合評価の要素が強くアドミッションや大学との相性もあり「縁」と「運」に左右されるのに対し、カナダは合否を予想しやすい。
●高い英語力と成績が要。
●英米の上位大学を志望している場合、成績が良ければ合格の可能性が高い志望先として併願しやすい。日本の高校でも海外からでも受験しやすい。
●IB、AP、SAT・ACTなども追記可能。
●課外活動の記載事項はほぼ不要。
●推薦状が不要なケースも。
アジアの英語プログラムに注目 マレーシア・シンガポール・香港
.png)

物価高・インフレが進む米英の大学は学費・生活費が課題ですが、欧米の大学のスタイルに近く学費が良心的なマレーシアの大学が注目されています。欧米からの留学生は少ないですが、アジア各国からの多様な学生と学ぶことができ、シンガポールをはじめアジア諸国に在学中の日本人生徒には物理的にも心理的にも距離が近い進学先と言えます。
代表的な大学
マラヤ大学、オーストラリア モナシュ大学 マレーシア校など
学費・奨学金
日本より安い可能性も。年間60~80万円程度。(寮費別)
.png)


シンガポールや香港の大学は、いずれの大学も学術レベルが非常に高く「第一志望」として合格を目指す形になります。「Target校(合格の可能性がある程度高い大学)」「Safety校(ほぼ合格できる大学)」ではなく、英米と肩を並べる世界のトップ大学の位置付けです。シンガポールは3~4年制、香港は4年制。
学費・奨学金
IB、AーLevelsなどで成績上位の場合には大学の奨学金の可能性も。シンガポールでは、卒業後にシンガポールで就職することを条件にした学費割引制度がある。
.png)

南半球にあるオーストラリアは欧米諸国の大学と異なり、入学時期が2月になります。大学出願時は10月ごろのため、英米の大学より先に出願するスケジュールになります。早い場合には10月中に合否が判明する場合もあります。
代表的な大学
シドニー大学、メルボルン大学など
学費・奨学金
●学費は年間300~500万円程度。(寮費別)
●アメリカより負担が少ない。
出願
●課外活動はアメリカほど数や深い内容が求められないため、特に国際カリキュラムで学ぶ高校生は学業成績に集中して取り組むことが可能。
●日本の高校(一条校)からは直接大学に入学するのではなく、基本はファウンデーションコースから始める必要がある。
※各国の学費は為替レートにより変動するため、最新情報をご確認ください。
日本人留学生・保護者に聞きました 志望大学をどのように選びましたか?
留学生の声(米 総合大学): 在学生が語るYoutube・TikTokを視聴。大学の雰囲気を知ることができました。自分が都会派か自然派かを分析し大学のエリアを選びました。
留学生の声(米 リベラルアーツ大学): 教授・研究室との距離が近く少人数制できめ細やかに学べること、大学院進学も視野に入れていることを考え、リベラルアーツ大学を志望しました。
留学生の声(英): 日本の学校(一条校)からの受験だったため、ファウンデーションコースに出願しました。
留学生の声(加): カナダの大学の合否基準は成績・英語力中心なので、明確だと感じました。カナダのトップ3の大学を訪問し、一番環境が気に入ったところを第一志望にしました。
保護者の声(米): アメリカの各大学の合格者SAT・ACTの平均スコアや、合格率などのデータに注目するようにしました。治安が比較的良いエリアにあるかも調べました。
保護者の声(英): 「負担できる学費」を明確に子どもに伝えました。奨学金の可能性を探り、日本の大学も併願しながら日本・海外の二つのシナリオを親子で話し合いました。
あわせてご一読ください↓
次回は「アメリカの大学」編です!
・英語で学士を取れる日本の大学
・Studying in Japan
・IB
・AP
・Aレベル・IGCSE
2026年1月9日現在の情報です。最新情報は直接お問い合わせください。

























