グローバル教育
この人からエール RD American School 学長(Head of School)エリカ・スメルツァ博士

未来を切り拓くための学び
~シンガポールで開校する意義とは~

RD American School学長(Head of School)
エリカ・スメルツァ博士

はじめに

私が教育者を志したきっかけは、学生時代から抱いていた「学校に関わり続けたい」という強い思いにありました。文学の博士号を取得し大学教授になる道もありましたが、インスピレーションとやりがいを感じたのは初等・中等教育の現場でした。なぜなら、子どもたちが「自分は何者なのか」「世界にどのように貢献できるのか」と考え成長する過程で、その答えを見つける手助けをしたいという想いが強かったからです。その想いこそが、今日まで私を突き動かす原動力になっています。

教師としてのキャリアを通じて常に心に留めてきた言葉があります。それは、アメリカの作家トニ・モリスンの「信頼と権力を持つ立場に就いたら、考える前に少し『夢』を見なさい」という一節です。この言葉は、教育に求められる本質を見事に表していると感じます。まずは課題に向き合い解決へと導くための「責任感と実行力」、そして、より良い未来を描きクリエイティブになるための「遊び心と想像力」です。この両者をバランス良く育むことが、私の教育哲学となりました。
 ※ノーベル文学賞やピューリッツァー賞受賞者(1981-2019)

なぜ今、新たな学校が必要なのか

本校は2026年1月に、教育のニーズに応えるべくシンガポールに開校しました。背景には、高い学力を追求しながらも子どもの心身の健やかな成長(ウェルビーイング)や好奇心、個性を犠牲にしない教育を求めるご家庭の声があったからです。

教育立国であるシンガポールには、優れた学校が数多くあります。しかし、その教育システムのもとで、時に試験や早期からの学業のプレッシャーが子どもたちから学びの本質を遠ざけてしまっていることも否めません。

アメリカ・ニューヨークのリバーデール・カントリースクールの公式提携校である本校は、シンガポールの地に「もう一つの教育の選択肢」を提示しています。米国屈指の進学校であるリバーデール・カントリースクールは120年近くの歴史を誇り、アイビーリーグを始めとするトップ大学に多数の進学者を輩出しています。本校はアメリカの伝統校の学びを引き継ぎ、探究学習を主軸に置いているため授業では活発な議論があります。テスト対策の勉強ではなく、幅広い分野を横断しながら思考したり洞察する力や、自らの考えを言語化する力や周りと協働する力が養われます。生徒が学びの主人公であるため、一人ひとりが希望する「進路」に合わせて柔軟に科目を選択することもできます。アメリカの教育の醍醐味が息づいている本校だからこそ、学びはスピードよりも「深さ」、暗記よりも「思考」、短期的成果よりも「長期的な成長」を重視していると言えるでしょう。確かな学習基盤のもとで知性・人格の両方を大切にする本校で培った資質は、世界各国の大学で高く評価されると自信を持ってお伝えできます。  

「何を知っているか」ではなく「いかに学ぶか」

本校教育の最大の特徴は、一般的な「カリキュラム」ではなく独自の「教育アプローチ」を起点にしている点です。「教育アプローチ」は特定のカリキュラムによるものではなく、学習科学に基づき「どのように学べば最大限に力を発揮できるのか」という視点で実践しています。

昨今の研究では、継続的に学び続けるためには単なる知識を詰め込むだけでは不十分であることが証明されています。効果的に学ぶには、「思い出す」ことや、間隔をあけて再度学習し「振り返る」こと、そして実社会で「応用する」ことこそが不可欠だという結果が判明しているのです。本校が教科横断型のプロジェクトや探究学習を通して、学びを現実世界と結びつけているのは、この「教育アプローチ」に起因しているからなのです。

「AIにできない力」とは

未来は予測不能です。しかし、ひとつだけ確かなことがあります。それは、AIが人間本人の代わりにはなりえないということです。AI技術が高度に進化し機械が正確な答えを導き出せるようになると、人間の「問いを生み出す力」や「テクノロジーを安全かつクリエイティブに活用できる力」が一層重要になることは自明の理です。

端的に言えば、「人間らしい力」こそAIにはできない能力なのです。具体的には、新たな発想を生み出す「クリエイティブな力」や他の視点で物ごとを見る「批判的思考力」などがあります。他者と対話し試行錯誤しながら「協働する力」もその一つです。

お子さまが学校生活を過ごす中では、「メタ認知」も大切な力です。「メタ認知」とは、自分を理解し客観的に「もう一人の自分」を俯瞰し自らをコントロールする能力を意味します。子どもたちが「メタ認知」により自分の強みや課題を把握できれば、失敗の原因を分析することもでき次の糧になります。冷静な態度で改善点を見出すことで、自己の成長へと繋げることができるでしょう。

近年の認知科学と学習科学の研究で、脳の発達には次の三つが大きく寄与していることが明らかになりました。一つ目は他者とアイディアを共有し合う体験、二つ目は情熱を伴った学び、三つ目は身体と五感を使った試行錯誤です。つまり、AI時代における最も重要な教育資源とは、人間らしい柔軟な考えと誠実さを育むために「良好な他者との関わり」と「深い思考」を促す点と言えます。もはや学校は、特定の道具を使いこなす技術や読み書き計算を教える場ではなく、批判的思考力やメタ認知、協働力や倫理に従った判断力の育成を行う場なのです。

挑戦と励ましが促す成長 

子どもは、私たちの想像を遥かに超えるさまざまな可能性を秘めているものです。周囲の世界や人々に好奇心を持ち、自ら考え何かを創造し探究することに喜びを見出だせる子どもたちに、ぜひ本校で学んでいただきたいと考えています。

新しいことを学ぶには、「困難に出会い乗り越える」経験がつきものです。特に成長過程では挑戦することが不可欠です。本校では教員全員で常に丁寧なサポートを心がけています。励ましを受けた子どもたちは、努力や試行錯誤そのものが価値ある学びであることを身をもって理解していくでしょう。教員たちの主体的な関わりによって、子どもたちは自ら内省して研鑽し、それぞれの花を大きく咲かせることを確信しています。

海外で子育てをするご家庭へのアドバイス

私が日本のお子さまに接して感じることは、協調性や粘り強さ、丁寧さといった素晴らしい資質を持っているということです。一方で、「なぜ?」と考えながら進める探究学習で必要な自己表現やリスクを取ることに戸惑いを感じる場面もあるようです。そこで、日本のお子さまにはあえて「ものごとを素直に受け入れるだけでなく、問題意識を持ち周りに流されない強さを持とう」とお伝えしたいと思います。

日本のお子さまは豊かな文化的背景の中で育っており、それはグローバル社会において、光り輝く個性となるでしょう。さらに国際的な環境で育つお子さまのアイデンティティは、固定されたものではなく成長していくものです。ご家庭で日本語や日本の伝統文化を大切にしながら多様な価値観に触れることで、しなやかに世界と向き合えるようになるに違いありません。本校では多彩なバックグランドを持つ皆さまを心から尊重し、学校という温かいコミュニティの重要な一員として歓迎しています。私たちは皆さまに「自分らしい根を張りながら、未来へ自由に羽ばたける」学習環境をお約束します。

ご要望に応じて英語強化プログラム(EAL)の整備や日本語教育も検討しています。ぜひ本校でさらなる高みを目指して学んでください。皆さまとともに、お子さまの可能性を育んでいけることを楽しみにしています。

エリカ・スメルツァ博士
学長(Head of School)

カリフォルニア大学サンタクルーズ校にて文学の博士号取得。英文学・哲学、教育リーダーシップを修め、国際教育と生徒のウェルビーイングを重視した次世代型の学びを実践。

米国の名門BASISの中国初の海外キャンパス立ち上げに携わり、その後、深圳のフラッグシップ校および広州のボーディングスクールの校長を経て現職。10年以上にわたりインターナショナルスクールで学校運営を担当。現在も授業やクラブ活動に関わり続けるなど教育現場を重視し、高い教育水準と生徒一人ひとりへのきめ細やかなサポートを両立させた学校づくりに取り組む。

RD American School(RDAS)のInside the Schoolはこちら

2026年2月12日現在の情報です。最新情報は直接お問い合わせください。

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