日本デンタルセンター 北原 信也 先生
お子さまとご家族のための歯科コラム
子どもには関係ないと思わないでください。
実に14 歳以下で約 4割、20歳で 7割が歯周病に罹患していると言われます。
歯周病は歯を失う大きな原因。歯は食べ物がはじめて出会う「消化器」であるだけに、歯周病で歯を失うと、からだ全体に大きな影響が及びます。さらに、歯周病が全身のさまざまな病気に関係していることがわかってきています。
歯育:歯のケアを通して知的発達を促すこと
良く噛んで食事する子どもと、現代のファーストフードに代表される早食い・良く噛まない子どもとでは知的発達が異なるという研究もあります。つまり、「良く噛める」=「虫歯も歯周病もない良い歯並びを持つ」ことは知育に影響を及ぼしていることがわかります。成績が伸びない子どもの原因に歯があるかもしれないのです。
がん
歯周病菌によって炎症がおこり、それが続くことで正常細胞に異常をきたし、発がんに結びつくという説も出ている。
脳
認知症
物忘れが病的になった状態。何らかの原因で脳が萎縮するアルツハイマー型と、脳卒中の後遺症としておこる脳血管性がある。
心臓
狭心症・心筋梗塞
心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈が狭くなったり、詰まることでおこる心臓病。動脈硬化が進行しておこる。
心内膜炎
心臓の弁に歯周病菌が感染しておこることがある。心臓弁膜症など、基礎的な病気がある人は要注意。
肺
肺炎
歯周病菌など、口の中の細菌が気管に入り込み、肺炎にかかることもある。高齢者・寝たきりの人や、脳卒中の後遺症などで飲み込む力が低下しているとおこりやすくなる。
すい臓
糖尿病
血糖値が高い状態が続いておこる。ひどくなると、さまざまな合併症をもたらし、歯周病もその一つといわれる。
おなか
肥満
肥満はさまざまな生活習慣病の温床。おなかに脂肪がつく内臓脂肪型肥満がメタボリックシンドロームの大きな原因になるため、とくに問題になっている。
子宮
胎児の低体重・早産
妊娠中はつわりなどで、口の中のケアがむずかしくなりがち。歯周病が妊娠・出産に影響を及ぼすというデータもある。
血管
動脈硬化
高血圧や脂質異常が進み、血管が厚く硬くなった状態。血液がスムーズに流れない虚血性の心臓病や脳卒中の原因になる。
骨
骨粗しょう症
骨密度が低くなり、骨がすかすかにもろくなるため骨折しやすくなる。女性に多い。高齢者の寝たきりの大きな原因。
手足の先
バージャー病
手や足の指先が青紫色になって強い痛みがおこり潰瘍になって、ひどくなると細胞が死んでしまう(壊死)病気。喫煙者に多い。
本文出典:「からだの健康は歯と歯ぐきから」財団法人 8020推進財団より
※2015年9月25日現在の情報です。最新情報は各機関に直接ご確認ください。