グローバル教育
特集 海外大学進学 ~海外生・帰国生必見!日本人のための海外大学進学~ 第2回 アメリカ編

※誌面と同じ一覧がPDFでご覧いただけます
 

刻々と変化するグローバル社会において、今後の進路や将来のキャリア形成を考え海外大学進学を検討する方もいらっしゃるでしょう。前回の「入門編」では、代表的な海外大学と国別の概要をご紹介しました。
今回はアメリカの大学に焦点を当て、進路指導の先生や大学関係者に取材し日本人学生の声をお届けします。長期的な準備が必要と言われる海外大学への進学について、ぜひこの機会にご一読ください。 

第1回入門編 はこちら

取材協力:
●Middlebury College
●Overseas Family School
●Stamford American International School

なぜ、アメリカの大学なのか

「世界大学ランキング2026(THE)」では、上位30位までにアメリカの大学が18校と対象115ヵ国・地域のうち最も多くランクインしています。アメリカの大学には多くの特徴があります。  

●ノーベル賞をはじめとする世界トップクラスの研究・イノベーションがある 
●大学の潤沢な資金により設備が最新、教授陣の層が厚い 
●理系文系を垣根なく学ぶ「リベラルアーツ教育」が盛ん 
●大学入学後に専攻を決定できる 
●複雑な社会課題を解決するためにITや数学的発想を活用 
●起業マインドが高く産学連携の取り組みが多い 
●国内外のインターンシップを獲得しやすい

「パブリック・アイビー」と称される大学 

州立大学のうち、特に優れた研究・学習環境のある大学。定義は諸説あるが、例として UCバークレー、UC LA、ミシガン・アナーバー校、ワシントン、ウィスコンシン・マディソン校 など

大学の種類と特徴

アメリカには日本の文部科学省にあたる全国の各教育機関を司る政府機関はなく、州立大学や私立大学が独自に運営されています。私立大学は授業料による収入に加え企業や卒業生からの支援を受け、世界および米国の研究を牽引する役割を果たしています。

「州立」と「私立」の違い

州立大学の特徴

●学生数が多くキャンパスが大規模                   
●設備が充実(研究施設、スポーツ施設、カフェテリアなど) 
●大規模校が多いため、上位私立大学に比べ合格率が比較的高い 
●州の居住者が優先されるが、留学生が多い大学も

私立大学の特徴

●規模や授業形態は多様。少人数制クラスを受講することも可能 
●各大学により特徴ある研究や教授陣を擁す 
●上位大学の合格率は3~10% 
●留学生比率が高い(10~20%程度)大学もある※ 
※最新の留学生受け入れ状況・学生ビザ取得状況は直接確認しましょう。 

アイビーリーグ 

アメリカ東部にある私立8大学(ハーバード、イェール、プリンストン、コロンビア、ペンシルバニア、ブラウン、ダートマス、コーネル大学)。スポーツリーグとしての名称であり、17世紀前後に開学しリベラルアーツ教育を出発点とする伝統校で、トップレベルの研究や実業界・法曹界などで卒業生が活躍することから世界各国からも注目を集める。 

「アイビーリーグ」以外の超難関大学

スタンフォード、シカゴ、マサチューセッツ工科(MIT)、ジョンズ・ホプキンズ、デューク大学など多数

「総合大学」と「リベラルアーツ・カレッジ」の違い

総合大学の特徴

●州立・私立ともに学部は理系・文系多岐にわたり、大学院を併設する 
●入学後に専攻を決定する。同じ学部内であれば専攻の組み合わせも可能 
●施設や研究機関が充実し、教授だけでなく大学院生からの指導も 
●大学附設の医療や安全対策の深夜送迎サービスなどがあることも 

リベラルアーツ・カレッジの特徴

●「リベラルアーツ教育」に特化し4年間の学部教育を専門に行う 
●複数の分野を組み合わせて学べ、二つの主専攻(ダブルメジャー)」や「主専攻+副専攻(メジャー、マイナー)」が一般的 
●教授陣と距離が近く、研究や大学院進学など手厚い指導も 
●小規模で郊外にある場合が多く、比較的治安が良い 

「リトル・アイビー」と称される大学

リベラルアーツ・カレッジのうち、優れた教育水準の大学。NESCAC(東部ニューイングランドのスポーツ・リーグ)に加盟する11校(アマースト、ボウディン、ハミルトン、ミドルベリー、ウィリアムズ大学ほか)やスワースモア大学など

過去の「リベラルアーツ教育」 特集はこちら

出願書類・資格

日本の大学の総合選抜と同様に高校の成績が重視され、活動歴や人物像が伺えるエッセイ・志望理由が重要な要素となります。上位校は合格率(%)が一桁台とかなり低いため、受験生一人当たりの大学出願数は10校程度、多い場合には20校を超えることもあります。  希望する学部・専門分野によって高校の履修科目や諸条件があるため、最新情報を確認しましょう。 

❶高校の成績の評定平均(GPA) 
❷アメリカの高校卒業資格をはじめ、各国や国際教育での高校卒業資格

・高校卒業資格(アメリカのWASCなど、日本、その他) 
・国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)   
・国際A-Level  など

❸課外活動・研究や受賞歴 
❹エッセイ(共通出願用、大学別) 
❺プレゼンテーション動画など(大学による) 
❻外部試験  ※提出義務がないこともある

・英語資格試験(TOEFL、IELTS、Duolingo) 
・学力試験(SAT、ACT※、大学の単位として認められるAP) 

※SATは英語、数学、読解の3科目、ACTは英語、数学、読解、科学の4科目

過去の特集はこちら

国際バカロレア
国際Aレベル
AP

アメリカの公的機関「Education USA」では、 アメリカの教育を紹介しています。 ぜひご活用ください。
ウェブサイトはこちら 

出願・合格までのスケジュール

出願・合格までのスケジュール出願には早期専願(Early Decision)、早期出願(Early Action)、一般出願(Regular Decision)の3種類があります。

リベラルアーツ・カレッジに聞きました。

今回は、リトル・アイビーの一つでもあるミドルベリー大学に取材しました。

ミドルベリー大学 
Associate Director of Admissions 
Palmer Shannon さん

バーモント州にあるミドルベリー大学。(公財)笹川平和財団・柳井正財団の奨学金支給対象大学(26年入学)。

🆀リベラルアーツ・カレッジで学ぶメリットは 

🅰学部教育において「最も柔軟に学べる」点です。現在の中高校生が就職期を迎える5~10年後には、現存しない職業が誕生していると言われています。リベラルアーツ・カレッジでは人類が直面する課題について自由かつ多角的に考え学びます。急速に変化する社会だからこそ、その多角的な学びの過程で協働作業やリサーチが新たな発見や将来への道につながるでしょう。

具体的には次のメリットがあります。 

❶専攻分野を柔軟に選ぶことができる

ミドルベリー大学 での学生例

学生①

水質汚染対策の仕事に就きたい
→「環境化学」を専攻(一つの専攻)

学生②

身体のバランス感覚と動きをテーマに研究したい
→「神経科学」と「ダンス」の ダブルメジャー(二つの専攻)に

学生③

国際社会と文学に関心がある
→「国際政治経済」をメジャー(主専攻)、 「英語」をマイナー(副専攻)に

❷ 少人数制で緊密なコミュニティ 

●新しい授業スタイルや環境に馴染むための留学生・学生支援が充実 
●学生一人ひとりが教授・スタッフと個人的に関わることができるため、埋没しない 
●就職活動や大学院進学では、卒業生の強力なネットワーク・教授陣の支援がある 
●「カレッジ・タウン」は郊外で治安が良いことが多く、地域社会とも繋がりやすい  

🆀留学生・新入生向けのサポート体制は 

🅰多くの学生は、学位取得期間の大部分を寮や大学が提供するアパートで過ごすため、学生へのサポート体制も手厚くあります。 

●新入生専用の寮があることが多く、「興味別」の寮があることも。 
●コミュニティがしっかりしており、上級生やスタッフが友人作りや大学に馴染むためのイベントを企画。その他音楽やボランティア、アウトドア活動が活発。 
●軽い怪我・病気などは大学の保健センターで対応可能。※深刻な場合は地域の病院へ  

🆀日本人ご家族へのメッセージ 

🅰「小規模のコミュニティで主体的に学びたい学生」「自由で柔軟なリベラルアーツ教育を求める学生」を歓迎します。校風や学術的な強みは各大学で異なるため、オンライン・イベントなどを活用し「自分に合った大学」を慎重に選びましょう。本学にもご遠慮なくお問い合わせください!

アメリカで学ぶ日本人学生に聞きました

総合大学

K さん 
ニューヨーク大学(NYU) 3年(主専攻:公共政策、副専攻:経済) 
シンガポール St.Joseph’s Institution International(Grade1~6)、日本私立校 卒業(中1~高3)

アメリカを選んだ理由は、学びの自由度、社会科学・歴史への関心、そしてNYという都市の魅力です。法律に興味があり、ロースクールでも上位であるNYUは理想的でした。ビジネス、エンジニアリング、芸術系などさまざまな学部の同級生と交流し、学内の国連プログラムやマーケティング・企業研究クラブなどに参加したことで、徐々に専攻を絞ることができました。夏季休暇には法律事務所やFintechスタートアップ企業でインターンシップを経験し、就職活動の準備に役立てています。 

■ 海外大学を検討している皆さんへ  

私はシンガポールで英語の基礎を固めることができました。皆さんも現在培っている英語力を、ぜひ生かしてください。中高時代は学校の成績を上げることに注力し、自分が参加できそうな大会やコンテストの情報にもアンテナを張りましょう。大学で社会科学系などを専攻する場合でも数学の知識が役立つため、高校で文系コースであっても数Ⅲを選択することをおすすめします。

リベラルアーツ・カレッジ

髙木 秀之 さん 
ハミルトン大学 4年(主専攻:数学、副専攻:物理学・哲学) 
シンガポール Stamford American International School 卒業(Grade 7~12)

Grade10クラブや活動に参加。「一番好奇心を刺激する科目」に注目。
Garde11「学びたいこと」や「自分が持つ問題意識」を絞り活動に繋げる。 
進路指導の先生などに相談、志望大学に必要な外部試験などを確認。
Grade12出願書類の準備、試験、卒業に関わる各種イベントに参加。

 私はもともと「異なるアイディアの繋がり」に興味があり、物理学と経済学、哲学と政治の関係性など、理系文系を超えたアプローチを知りたいと思っていました。そこで、さまざまな科目を横断的に学べるアメリカのリベラルアーツ・カレッジを志望しました。大学では抽象代数学から実存主義やロシア映画までさまざまな分野を学んでいます。一見無関係に見える科目でもその中に関連性を見出すことができ、問題を多角的にアプローチする力を養っています。  

■ 海外大学を検討している皆さんへ  

IBで培った論述力と批判的思考力のおかげで、大学での学びはスムーズに進んでいます。私は「知の理論(TOK)」で特に苦労しましたが、その苦労は必ず報われると思うので皆さんも頑張ってください。進路を考える際には、大学名ではなく「自分の思考を形成する環境はどこか」という視点を持つことをおすすめします。変化の激しい未来では、一つの専攻で勝負するよりも「アイディアを結びつける能力」が重要になると思います。その意味でも、リベラルアーツ・カレッジは理想的な環境だと感じています。 

実際に高校では、大学進学に向けてどのような取り組みをしているのでしょうか。

進路指導の先生に聞きました

Stamford American International School 
Gavin Fuller 先生

■高校3年間の過ごし方  

高校3年間では各学年を以下のように位置付けて取り組みましょう。    

Grade 10「自己を発見する学年」 

関心のある分野を発見し、可能性を広げる。
●クラブやスポーツ、課外活動などから「少数の活動を長期間深く取り組む」ことを重視 
●大学の入学要件に沿った科目選択を意識し、担任や大学進学カウンセラーと自分の強みや可能性を分析    

Grade 11「進路を見定める学年」 

自分の将来像を描く。 
●大学進学カウンセラーのサポートを受けながら、進みたい方向性に焦点を当て、大学卒業後の仕事や大学院進学についても模索 
さまざまな大学説明会に参加し、具体的な志望大学と入学要件をリサーチ 

Grade 12「決断する学年」 

Stamford American International School卒業式

出願先や出願先や将来像などを決断する。プロムなどの楽しいイベントで心のバランスも大切に。 
●高校卒業後の人生について、生徒自身の思いを家族・教員と相談しながら、決断 
●志望大学を決定。12~1月は出願に集中 

Overseas Family School(OFS) Academic Advisor Team

OFSのキャンパス

■「志望大学の選び方」と「進学準備」の重要事項  

多くのインターナショナルスクール生は、既に「故郷を離れている」状態です。さらに別の国へ進学することは大きな負荷となりがちです。自分に合った大学選びは慎重に行いましょう。  

次の4つの要素を参考にすると良いでしょう。  

❶「学業・成績」  
各大学の合格水準となるIBDP予測スコア、SATスコアなど。英語が母語ではない生徒は、大学レベルの英語力があることを証明するため英語資格試験が必要 ※OFSでは国際バカロレアだけでなく、  WASC認定のOFS高等学校卒業コースも選択可  

❷「コミュニティ」  
大学の留学生向けサポート体制やキャンパスの規模など自分との相性を考え、「厳格な学習環境」か「協力的なコミュニティ」かを見極めよう 

❸「経済面」  
家族と「現実的な予算」を話し合い、授業料以外の航空運賃、健康保険、生活費などの「隠れた費用」も考慮しよう 

❹「将来のキャリア」  
就職率や卒業生のネットワーク、インターンシップの機会や地元産業との提携関係、医師や弁護士を目指す場合は資格が将来住む国で通用するかを確認しよう  

■大学の奨学金  

以下の2種類の奨学金の違いを理解し、奨学金や財政援助の必要性が入試の合否に影響するかも確認しましょう。  

●成績優秀者対象の「自動授与型」の奨学金
私立や地方の州立大学などで手厚い。一般的にGPA要件を満たせば毎年更新可能 
●「競争型」の奨学金
選考が厳しく別途の手続きや追加エッセイ、推薦状、面接、ポートフォリオ、リーダーシップ審査などが求められることも

受験生や小中学生のご家族へのアドバイス 

Stamford American International School…🅢  Overseas Family School…🅞 

●進学準備は「数年にわたるプロセス」となるため、早めの準備を 🅢 
●大学選びでは、ある学生にとっての選択が別の学生には不適切な場合も。優先事項を整理し、自分の「最適な大学」を見極めよう 🅢 
●活動内容には真摯な取り組みや成長、時間をかけて生み出した「インパクト」を 🅞 
●出願用エッセイでは「思慮深く個人的かつ具体的な内容」をテーマに、「独創的な視点と誠実さ」を示し他者との差別化を図ろう 🅞 

次回は「イギリスの大学編」です。 どうぞお楽しみに。

あわせてご一読ください
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2026年3月25日現在の情報です。最新情報は直接お問い合わせください。

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