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海外大学進学特集、「入門編」「アメリカ編」に続き、今回はイギリスの大学についてお届けします。日本から直接留学する人は米国などに比べて少ないものの、歴史と伝統に彩られた世界屈指の名門大学も多く、アジアをはじめ世界各国から多くの留学生を惹きつけるイギリスの大学の魅力について、ぜひこの機会にご一読ください。
第1回入門編 はこちら
なぜ、イギリスの大学なのか
イギリスの大学には多くの特徴があります。
英国大学(学部課程)の特徴
●伝統的名門大学の、世界的な知名度が高い
●質の高い教育で学問的な思考力、文章力が徹底的に鍛えられる
●世界中から留学生が集まる多様な環境
●学士課程は原則3年間で修了(スコットランドなど一部を除く)
●3年間で修了するため、学費の総額が抑えられる
●1年生から専門性の高い学び(一般教養はあまり学ばない)
●成績評価法は期末試験やレポートなど短期集中型

3年間で専攻分野に集中して学ぶため、自分の勉強したい分野があらかじめ決まっている人、早期の就職を目指したい人などにはイギリスの大学が向いていると言えます。また多くの大学や学部は大学院修士課程も1年間で修了するため、合計4年間で学士と修士の両方の学位を取得できることも可能です。一方で、専攻分野を決められていない人にはミスマッチが起きた場合に学部や専攻の変更が難しく、やり直しに時間を要する場合もあります。
大学の種類と特徴
国立?私立? 正解は「どちらでもない」
英国の大学の多くは、高額な年間学費であることから私立大学と誤解されることもありますが、日本のような国立・私立という区分はありません。ほぼすべての大学が独立行政法人であり、その多くが公的資金を受けています。例えばオックスフォードやケンブリッジ、その他、下記ラッセルグループの諸大学では、この公的資金をより多く受け取っているため、公的な性質を帯びています。
イギリスの主な大学
英国では例年世界トップ100大学に約15~18校前後入っており、人口規模に比べて非常に多いと言えます。特にオックスフォード、ケンブリッジ、インペリアルカレッジロンドン(ICL)、ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)の4校は世界トップ10位~20位の常連校です。
ラッセルグループとは? |
| オックスフォードやケンブリッジなど名門大学24校が名を連ねる「ラッセル・グループ」は、米国のアイビーリーグと並び称されることもありますが、その性質は大きく異なります。ラッセルグループは「研究力が特に高く、政策提言や研究資金配分で大きな影響力を持つ大学」の連盟組織として定義されており、研究型大学の利益代表として、研究資金の確保や政府への政策提言を行うという「明確な目的と機能」がある組織です。 |
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出願書類・資格
原則、日本の高校の卒業資格(A-レベルや国際バカロレア(IB)を取得しない場合)では英国の大学に入学するのは難しく、以下のようなルートが一般的です。
❶各大学のFoundation Year※に入る。
❷国際A-LevelまたはIBを受験する。
❸一部の大学ではInternational Year Oneという形で入学可能
※Foundation Yearとは
イギリスでは高校卒業までが13年間であるため、12年間で高校を修了する日本などからの留学生は1年分の学力基準が不足しているとみなされます。このギャップを埋めるためにFoundation Yearのプログラムが設けられています。
Foundation Yearでは、以下の内容を学びます。
●英国の大学教育に必要な アカデミック英語力
●専攻分野の基礎知識
●エッセイ・レポートなどの学習スキル

出願方法
●英国の大学出願は、すべてUCAS(Universities and Colleges Admissions Service)を通して行われる
●最大5大学に同時出願
●出願締め切りは学部によって異なる
●オックスフォード、ケンブリッジ、そして医学部は出願時期が早い
UCAS出願の際に必要な提出書類
●学力証明:A LevelまたはIBDPの成績
●志望理由書 Personal Statement
●推薦書 Reference
●予測成績 Predicted Grades※
●志望する大学・コース(最大5校まで)

※予測成績とは 一般的にUCAS出願時点ではA Levelなどの最終の成績がまだ出ていないため、UCAS referee(推薦者、通常は在籍する学校の教師)が生徒の成績をもとに直接UCASに予測成績を提出する。
英語の資格証明(IELTSなど)
■日本の高校などから出願する場合は提出を求められる
■UCASとは別に、大学に直接提出する
■出願時に提出を求められる場合と、条件付きのオファーが出てから提出を求められる場合など、大学により異なる
合格率は高め? |
| イギリスの大学の合格率(Offer Rate と呼ばれる)は最難関大学でも15~20%で、アメリカなどに比べて高め。これは合格の成績条件が非常に明確(A-levelの点数など)であるため、「条件を満たしていない大学には基本出願しない」傾向が強いことが影響していると言われています。 |
| 各国にあるイギリスの公的機関British Councilでは、イギリスの大学や奨学金など の教育情報を提供しています。ぜひご活用ください シンガポールのBritish Council web https://www.britishcouncil.sg/study-uk 日本のBritish Council web https://www.britishcouncil.jp/ |

出願・合格までのスケジュール
出願は、Foundation Yearも含めて、すべてUCASのウェブサイトから一括して行います
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イギリスの大学の魅力を聞きました。
オックスフォード大学のエクセター・カレッジに取材しました。
オックスフォード大学 Exeter College
広報責任者
Mathew Baldwin さん
バーモント州にあるミドルベリー大学。(公財)笹川平和財団・柳井正財団の奨学金支給対象大学(26年入学)。
🆀エクセター・カレッジの学びの特徴は?
🅰エクセターはオックスフォードの歴史あるカレッジの一つで、J・R・R・トールキンやウィリアム・モリスなど歴史に名を残す偉大な卒業生を数多く輩出してきました。少人数制でディスカッションを中心とした授業を行うチュートリアル制度と、学生一人ひとりを大切にする親密で温かいコミュニティが多くの学生を惹きつけます。学生生活は知的な刺激に満ち、学生たちは学問への高い志を磨きながら、学業以外にも自由に幅広い活動に参加しています。
🆀留学生がもたらす価値とは
🅰留学生はカレッジの中心的存在です。現在67の国々から学生たちが集まっており、彼らの多角的な視点、経験、考え方は議論を豊かにし、既成概念に挑戦するきっかけとなります。真にグローバルで多様な環境でこそ、自由に、かつ敬意をもって意見を共有する文化が醸成されるのです。
🆀新入生・留学生へのサポート体制は
🅰比較的小規模なため、学生一人ひとりに寄り添い、誰もが安心して学べるよう全力でサポートしています。具体的には、次のようなサポートがあります。
●チューターや指導教員による学業サポート
●ウェルビーイングアドバイザーを含む、専任の大学スタッフによるサポート
●学生ネットワークやコミュニティを通じた学生間の相互サポート
●健康と安全など、オックスフォードでの日常生活に関する実践的なガイダンス
🆀日本人の高校生やご家族へのメッセージ
🅰私たちは常に好奇心に溢れ、学問に深く向き合いたいと望む、意欲のある学生を歓迎しています。本学のチュートリアル制度は他大学の教育法とは大きく異なります。学生は批判的に思考し、質問を投げかけ、議論を通して自らの考えを深めることが求められます。ここでの学びは厳しいものですが、挑戦する覚悟のある学生にとっては、思考、学び方、そして世界観が根本から変わる転換点となるでしょう。日本の学生たちには、好奇心と自立心を養いつつ、大学時代を自信と知的成長のための唯一無二の機会と捉え積極的に挑戦してほしいと思います。
実際に高校では、大学進学に向けてどのような取り組みをしているのでしょうか。
進路指導の先生に聞きました

XCL ワールドアカデミー
Director, University & Career Guidance
Leslie Tam さん
■高校3年間の過ごし方
G10 「自分の強み・志望を見極める時期」
自分の強みや興味関心を明確にし始める重要な時期です。「本当に好きな科目はどれか?」「自分の強みは何か?」などと自分に問いかけてみましょう。その上で、オンラインコースやサマープログラム、自主研究などを通じて探究することで、自分の興味関心を実際に検証しましょう。
当校では、高校卒業資格、IB(国際バカロレア)ディプロマ、またはAPコースを含むXWA高校卒業資格のいずれかを選択します。イギリスの大学を検討している場合、後にG11とG12で希望学部への出願に必要な科目を確実に履修できるよう、逆算して計画を立てる必要があるので、この選択は重要です。
G11~12 「成績向上への努力・出願書類準備」
成績のために非常に重要な時期で、選択した科目で常に高い成績を維持することが求められます。G11は志望する大学や学部について調べ、G12で出願書類をすべて揃えて提出します。これはG10から始まる綿密な計画の集大成と言えるでしょう。
■志望大学を決定する上で大事なこと
入学選考は概ね透明性が高く、学業成績が最も重要な鍵となります。各コースや大学によって入学要件や基準は異なるので、事前に注意深く確認する必要があります。
自分の予想成績と照らし合わせながら、第一志望の大学に続いて現実的な選択肢と、安全策となる選択肢をバランスよく組み合わせた「5つの志望大学リスト」を作成することが重要です。
■奨学金について
いくつかの奨学金制度があります。大学によっては独自の奨学金制度を設けており、例えばグラスゴー大学は優秀な学生に年間1万ポンド(約211万円※)の奨学金を提供しています。奨学金については、ブリティッシュ・カウンシルに相談したり、学校に来校することもあるので具体的に質問することもできます。
※2026年4月初め時点の為替レート
■イギリスの大学を志望する生徒とご家族へのアドバイス
イギリスでは大学入学初日から専門分野の学習を始めるため、出願前に専攻分野について慎重に検討する必要があります。また、同じコースでも大学によって内容や重点が大きく異なる場合があるため、調べておくことが重要です。
学業成績は重要なので、最高の成績を提出できるよう努力しましょう。ただし芸術系の大学やコースでは成績に加え、作品ポートフォリオがより重視されます。
イギリスで学ぶ日本人学生に聞きました
ケンブリッジ大学
Saraさん
笹川奨学生 University of Cambridge, first year Archaeology Undergraduate
Crimson Global Academy(CGA) IGCSE、 A-Levels履修(G10~12)
日本の国立小・中学校卒業(G8~9 CGAパートタイム履修)
10歳で訪れた博物館で考古学が好きになって以来、考古学で世界一のケンブリッジ大学を目指すようになりました。イギリスというより、自分が学びたい分野を学士課程から学べる唯一の大学であるケンブリッジに進学することだけを目指していたので、UCASで5つの大学に出願して全て合格をいただきましたが、落ちていたら浪人するつもりでした。
大学には、本や論文、映画などで知っていた有名な考古学の権威の教授がたくさんいらっしゃるので、授業以外でも自分からお話しに行ったりして、刺激的な毎日を過ごしています。将来は大学院に進学して考古学や人類学の研究者になることが目標なので、それに向けて毎日を学びの多いものにするために努力しています。
| Grade 5 | 大学リサーチ開始 |
| Grade10 | 研究や課外活動(全国・国際大会での入賞、論文執筆など)を開始、 高校卒業まで継続 |
| Garde11 | ・筆記試験・面接準備の開始 ・Personal statementの準備開始 ・IELTS受験 |
| Grade12 | 奨学金申請 |
■ 海外大学を検討している皆さんへ
まず重要だと思うのは、目標とする大学と自分のやりたいことの「一致度」です。これは合格の確率を上げるためにも、長期戦の受験でモチベーションを維持するためにも大切です。次に重要なのが、自分の興味や個性に合った学習や課外活動をできるだけ早くから進めることです。出願までの努力は出願書類や試験の点数などでしか評価してもらえないため、時間をかけて準備し、自信を持って提出すると結果に納得できると思います。皆さんの挑戦を応援しています。
オックスフォード大学
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林 美依奈さん
オックスフォード大学 Exeter College 2年(専攻:Economics and Management)
Westminster School(Sixth Form Yr 12 & 13)卒業
シンガポール現地小・中学校卒業後、Victoria Junior College 1年生の途中でイギリス留学
4歳から海外で育ち、将来的にも海外を拠点に仕事をしたいと考えていました。イギリスの高校に留学し、友人たちも英国内の大学に進む予定だったこと、また米国より安全かつ学費も多少抑えられると思い、イギリスのトップ大学にターゲットを絞りました。高校で経済学を学び、また日本、中国、シンガポール、イギリスで生活してきたことも影響して国際経済に興味を持ち、最終的に経済関連の学部に決めました。
■現在の生活
●週3~5回、1~4時間のレクチャーを受け、その内容についてエッセイまたはProblem Sheetという課題が出されます。
●さらに週2回、1時間~1時間半のチュートリアルがあり、教授(チューター)と学生2~3人でその週のトピックについて、主に提出したエッセイなどにフォーカスして議論をします。チュートリアルを通して教授と親しくなり、この時間以外でも教授による補習の時間が設けられており、議論をさらに深めたり質問したりできるのが魅力です。
Exeter Collegeは街の中心に位置し施設も充実しており、教授の研究も興味深くとても満足しています。普段は勉強やさまざまなSocietyの活動のほか、カレッジのジムに行ったり、大学の女子サッカー部やバレーボールのチームに入っており、練習や試合に出ることで勉強のストレスを発散しています。 3年間はあっという間なので、学生たちは1年生の時から就職に向けて行動を起こすのが一般的です。インターンシップは基本的に大学の紹介ではなく各自で探します。
■ 海外大学を検討している皆さんへ
3年間で専攻分野を深く学び絶対的な自信をつけることができるのが、イギリスの大学の魅力だと思います。受験の際に専攻への強い関心をアピールするために、高校時代に関連する課外活動に積極的に取り組むことをおすすめします。Year12の時点で専攻を決められない場合は、とにかく自分が面白そうだと思う分野の課外活動に力を入れ、Year13で仕上げる志望理由書に書けるような経験を積み重ねておくと良いと思います。
次回は「カナダ編」です。 どうぞお楽しみに。
あわせてご一読ください
英語で学士を取れる日本の大学
Studying in Japan
連載告知 大好評! 特集 海外大学進学
現在、海外生・帰国生のご家庭から大きな反響をいただいている特集「海外大学進学 ~海外生・帰国生必見!日本人のための海外大学進学~」。
第1回「入門編」、第2回「アメリカ編」に続き、今後も世界各国の教育事情を国別に深掘りし、最新情報をお届けしていきます。これからの発行予定をチェックして、ぜひ将来の進路検討にお役立てください!
今後の掲載スケジュール(予定)
2026年 7月号 カナダ編
質の高い公立教育と、卒業後のキャリアパスの魅力を探ります。
10月号 奨学金編
夢を叶えるための資金計画。給付型奨学金の最新情報は必見です。
12月号 オーストラリア編
留学生への手厚いサポートと、実践的な学びのスタイルをご紹介。
2027年 新年号 シンガポール編
アジアの教育ハブ。多文化共生社会で学ぶメリットとは?
それぞれの国の教育制度や特色、進学のポイントを丁寧にお伝えしながら、読者の皆さまが将来の選択肢を広げる一助となることを目指してまいります。 これからの「海外大学進学」シリーズも、どうぞお楽しみに!
今後Springで取り上げてほしい特集は、 こちらにご連絡ください。
mail contact@email.spring-js.com
2026年4月25日現在の情報です。最新情報は直接お問い合わせください。






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